Log in

モバイル業務改革を支えるサービスその1「GPS Punch!」(後編)【opinions】

モバイル業務改革を支えるサービスたち。今回は営業支援クラウドサービス「GPS Punch! (ジーピーエス・パンチ)」についてレッドフォックス株式会社にインタビューした後編です(前編エントリはこちら)。モバイルで組織も人も変わったという具体的事例も登場する興味深い内容となっています。それでは続きをお読みください。

お相手:レッドフォックス株式会社 代表取締役 別所宏恭氏、同社 林隆智様
聞き手:株式会社フィードテイラー 大石裕一

GPS Punch! を導入すると売上が上がる秘密

(大石)GPS Punch! を導入されたお客様が一番喜ばれているポイントって何ですか?

(林)売上増や組織の変革ですね。広く使われるのは営業部門が多いのですが、例えばUSEN様の変革が顕著です。今までは新規営業先となるリストを購入して、エリアごとに分けて印刷して配ってローラー営業されていたそうです。紙ベースだったんですよね。これには問題があって、効率よく行きたいと考えた営業が、リスト内の住所が近いところだけを回って、他は電話だけで済ませてしまうとか、そもそも本当に営業先に行けているのかもわからないとか。
他にも新規営業のレポートは1週間後にまとめて現場から上がってくることになってました。紙だから仕方ない。ただ即時性がないので、次の戦略を立てている間に競合にお客様を取られてしまうこともあったのだそうです。紙の問題も、商機を逸するのもなくしたい、そのためにGPS Punch! にしましょう!となりました。
以前ならリストから住所を見て土地勘とか地図帳開いてチェックして一件一件確認しながら訪問していたのが、GPS Punch! なら地図上にピンが立つので一目でわかる。だから1日に回れる営業件数も増えたそうです。訪問した直後に現場で報告も書く。そうするとピンの色が変わるような設定がされていて、地図上のピンの色がどんどん変わっていきます。ちょっとした楽しさも出てくるんですよ。

(地図上で確認ができるので一目瞭然)

しかも、営業現場からその場その場で次々と報告が上がってくるので、必要に応じて他のメンバーを派遣させるとか、注文が入りそうならもう工事担当者まで派遣してしまうってことができてしまうわけです。即応性が上がって効率も上がって、新規営業の網羅性も上がり、お客様を競合に取られてしまうこともなくなります。

(大石)そうやって訪問数や対応スピードが上がると単純に売上増えますよね?

(林)はい。クロスセルの促進にも繋がります。GPS Punch! を使って報告が上がれば上がるほどお客様がどういう商品を使っておられるかが見えてくるんですよ。すると、まだ使われていない商品をご提案できるようになる。これがクロスセル。結果的に客単価が上がります。このクロスセル効果で、別のお客様ですが、携帯電話販売のビジョン様では売上が前年比23%増になったという事例もあります。

(大石)それは凄いですね。クロスセルが進むということは、働き方も変わりませんか

(林)はい。組織も人も変わったそうです。従来は商品ごとに縦割りな組織だったのを、商品ごとではなくエリアごとに分けて横串の組織形態に変更されました。その結果営業がすべての商品を扱うようになったそうです。結果的にUSEN様の営業が何人もお客様を訪問してしまうようなこともなくり、コストの削減になって効率は上がるし、何よりお客様の印象が悪くなることを避けられるようになった。訪問件数も増えたそうです。営業担当は複数の商品を覚える必要が出てきてしまいましたが、個人個人のスキルアップには繋がったと。皆、ハッピーですよね。
組織が変わったおかげで新しい商材を追加するのも容易になったと聞いています。以前は商材が増えるごとに新たな部署を作っておられたようなので。

(大石)本当にいいことづくしですね。

(熱い思いを語って頂いている別所社長)

働き方を変えるという意識がないと成功しない
(別所)働き方改革を現場視点で目指して導入されたお客様は全員喜んでくださってます。現場の方も。逆に、うまくいかなかったところもあります。そもそもの目的が働き方改革ではなくて、サボりを監視するとかそういう視点だとうまくいかないですね。監視をしたいですというお客様には「やめたほうがいいですよ」と導入を思いとどまってもらう場合もあります。
(林)私は営業の際に、現場にメリットがないのであればやめたほうがいいですと言うようにしてます。普段の業務にプラスアルファのタスクが増えてしまうだけなら導入しないほうがいい。

(大石)なるほどですね。GPS Punch! を特にオススメしたい業界ってありますか?

(別所)どんな業種でもOKですが、外回りの営業がいる企業様では絶対に使えます。営業でなくても巡回されるような業務があるとか、エリアスーパーバイザーのような方がいる会社とか。あとは保守業務・メンテナンス系。例えば複合機ですね。緊急対応の際に特定のお客様から誰がどのへんにいるかが管理側からわかるので、誰が一番早く駆けつけられるかがわかる。迅速な対応ができるので、お客様にも喜ばれます。

(大石)GPS Punch! がない時代はどうしていたのでしょうね?

(別所)一人ひとりのスタッフに電話をかけていたようで時間も手間もかかっていたようですよ。その手間が一切なくなります。

(大石)GPS Punch! があったからこんなことが...という面白い例はありますか?

(林)過去にお客様にどういうことをしたのかという情報が残るので助かる、というご評価の声をいただいています。その情報が、次に訪問する人間にとって気をつけないといけないポイントになると。例えば、ある機械の設置の際に、ケーブルを引っ張って花瓶を落としてしまったことを書いてた人がいて、次に行く人は花瓶を倒さないようあらかじめ注意ができたという例がありましたね。事故の予防になって結果的にお客様の満足度が上がったそうです。

(訪問先の基本情報の他、記録した報告がいつでもどこでも確認できる)

(大石)逆にGPS Punch! をオススメできない業界ってありますか?

(別所)弁護士とか会計士などの士業の方ですかね。顧客数・案件数が少なくて、外回りもあまりなくほとんどデスクワークの方々には向いていないですね。

(大石)ぶっちゃけ、GPS Punch! があるからiPhoneを採用する、という会社様も結構おられるのではないですか?

(別所)5割以上はそういうケースですね。ホントAppleさんにめちゃくちゃ貢献してますよ(笑)。あと iPadのユーザが実は多いんです。iPadならではの他のアプリを併用しているパターンが多いですね。

(大石)Appleさんにもっと薦めてもらわないといけませんね(笑)。

(大石)さて、そろそろ時間となってしまいました。いろいろとお聞きしてきたのですが、ここまで現場に寄り添っているサービスって珍しいんじゃないかなと改めて感じました。最後に、私はGMBAのサイト連載で「業務用アプリを独自につくろうと思うな」という主張を繰り返しているのですが、クラウドサービスのメーカーとして業務用アプリの受託開発についてどう思うかをお聞かせ頂けますか。また、GPS Punch! の今後の展望も教えてください。

(別所)弊社は受託開発でエンタープライズ系の案件はやっていません。昔は通信環境が劣悪だったのでクラウドサービスを使うという選択肢はありえなかったですが、今の時代、自社で持つべきではないと思います。
業務用アプリの受託開発は基本無理ですよ。ゲーム系やコンシューマー系に優秀なエンジニアは皆持っていかれていてエンジニアがいないんですから。それに、情シスも現場を意識したRFPを書けなくなってますよね。これは日本企業の経営者がITを使わずIT音痴な状態を放置していたことが原因でしょうね。無理してでもあえて使わないといけなかったんですよ、ホントは。ITを自分事にしなきゃだめですね。
GPS Punch! は、主に位置情報を利用したプラットフォームであり続けます。これを使っていただいて、社内やSIerさんは集まった情報を加工する部分だけをつくるほうが良いと思います。そうした作業分担案件も最近は増えてきました。
今後も進化は続けていきますが、国内だけではなくて世界でも売りたいと思ってます。スマートフォンを使って労働をしている人々で日本国内のビジネスパーソンほど優れた人たちはいません。TOYOTAのKAIZENがそうであったように、日本の現場の声に基づいてつくったサービスは世界で成功できると信じてます。

(大石)IT系でB2Bサービスの海外向けは大概失敗していますから、その歴史に終止符を打ってほしいと思います。今回はありがとうございました。

モバイルは働き方を変える。やはり、現場こそが命

今回のインタビューでは結構ぶっちゃけ話をして頂きました。

もっとも印象に残ったのは、顧客企業の情報システム部門よりも、GPS Punch! の開発部門よりも、何よりまず先にモバイルを使われる現場のユーザーを第一に持ってこられているという別所社長のスタンスです。まさか老眼の方を意識する必要があるのだというところまで話がおよぶとは思いもしませんでした。

現場が主たるユーザーであるモバイル向けの業務アプリ。それを、現場にいないデスクワーカーたる情報システム部門が発注をし、デスクワーカーたる開発者が開発する。現場不在のデスクワーカーとデスクワーカーのやりとりでアプリが出来上がる。でも使うのは現場だよね?現場知らないよね?今までのソフトウェア開発の在り方で良いわけないよね?と問いかけられているようでもありました。

営業部林様の「やめたほうがいいですよ」と自社商品の導入を勧めないこともあるという姿勢も印象に残りました。普通これはメーカーの営業担当者ができることではありません。何のためにGPS Punch! は存在しているのかを、商品コンセプト・機能・お客様の実際の声などからよく理解されているからこそだと思います。

今回、1時間に渡ってさまざまな観点からお聞きしましたが、同じエンタープライズ系iOSの世界に身を置く企業経営者として共感できるところが非常に多いインタビューでした。

(別所社長・左と営業部林様・右)

レッドフォックスさん、この度はありがとうございました。最後にお断りしておきますと、本稿は GPS Punch! をアピールする広告企画ではありません。GMBAの編集部から何か話があったというわけでもありません。ただただ実際にモバイルで業務を改革している例をご紹介したいなという思いで、私の独断で取材し記事化したものです。本業がライターというわけではないので、インタビュー記事は結構大変だということがよくわかりました(笑)。

モバイルで業務の現場が変わる正しい姿...に繋がるサービスはまだまだたくさんあると思います。いくつか思い浮かぶサービスがありますので今後もご紹介できればと思っています。

執筆者

大石裕一氏/1975年大阪生まれ。大阪府立大学工学部卒業後、ソフト開発会社にエンジニアとして入社。6回の転職でWindows/Mac/Linux/組み込み系、ネットワーク系の開発やマネージャ経験を経て、2006年株式会社フィードテイラーを設立。エンタープライズiOS分野を得意とし、安易な新規業務アプリ開発を否とする考えを持つ。自社で開発したクラウド型ファイル共有サービス「SYNCNEL」を海外含む約200社に提供中。