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モバイル機器を導入する組織や管理者が考えなくてはならないポイント【manual】

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モバイル機器(デバイス)の導入を検討している組織は多いだろう。組織の責任者や管理者はこれから導入するデバイスについてさまざまな検討をしなければならない。本稿では、「計画・設計」「導入・設定」「管理・運用」の観点から12のポイントを紹介したい。

モバイル機器活用の第一段階は導入の「計画・設計」から

①デバイスの選定

組織にモバイル機器を導入する際の選定は、実際にデバイスを利用する業務やシーンの想定だけでなく、導入する際の初期設定、インストール作業などのコストや導入後の運用コストなども考慮しなければならない。

モバイル機器は大きく分けてスマートフォン、タブレットなどに分類され、さらに搭載されているOSごとに分類される。

―スマートフォン

iPhone、Android端末、Windows Phone

―タブレット
iPad Air/iPad mini、Windowsタブレット、Androidタブレット

―OS
Windows、OS X、iOS、Android

近年多くの組織で導入が進んでいるモバイル機器はタブレットデバイスである。タブレットはカタログ閲覧などのプレゼンテーション端末、メールなどのコミュニケーション端末、基幹システムに接続する業務システム端末として利用される。タブレットの種類は搭載されているプラットフォームごとに大きく「iPad Air/iPad mini」、「Windowsタブレット」、「Androidタブレット」の3つのカテゴリに分かれる。さらに各カテゴリのタブレットはディスプレイのサイズや容量など、スペックごとにさまざまな機種が用意されている。3つのカテゴリの機種はそれぞれ機能や特徴が異なるので、選定の際は業務における利用シーンを想定して比較検討する必要がある。

②デバイスの調達

デバイスの調達手段は、一括購入、リース購入、レンタル、BYOD(個人所有端末の持ち込み)の4つの方法がある。既に導入済みの企業のほとんどは一括またはリースでの購入である。モバイル機器は短い期間で新機種が登場するので、導入されたデバイスもすぐに旧機種となってしまう。そのため、デバイスを旧機種から新機種に借り換えることができるリースでの購入を検討されるケースが多い。個人が所有しているデバイスを業務で使用するBYODという方法もあるが、持ち込んだ多様のデバイスを組織が管理する負担は大きく、あまり調達手段としては採用されない。

参考:年商100億円未満企業のBYODニーズは2割、管理負担大きく

アクティベーションと初期設定を行いモバイル機器を導入

③デバイスの初期設定

購入したモバイル機器を箱から出してまず行うのがデバイスのアクティベーション(ライセンス認証)である。アクティベーションは導入したデバイスの利用開始を各プラットフォームへ通知する作業のことだ。デバイスをWi-Fi(無線LAN)などを使いインターネットに接続することで自動的にアクティベーションが行われる。アクティベーションが正しく行われないとデバイスを使用することができない場合がある。デバイスを直接インターネットに接続できない場合は、別途パソコンなどを使いアクティベーションを行う。

アクティベーションが完了したら、次にデバイスを組織で使用する業務やシーンに合わせて設定を行う。組織のポリシーに沿った形でデバイスを設定するには設定ファイル(プロファイル)を利用する。プロファイルではデバイスを使用する組織の設定・ポリシー・制限などを項目ごとに設定することができる。各プラットフォームやデバイスメーカーによってプロファイルで設定できる項目は異なる。設定は一台ずつ行う方法もあるが、複数台のデバイス導入を検討している場合には手間や時間がかかってしまう。一部のプラットフォームでは一括設定して大規模展開できるツールなどが用意されている。この他、モバイルデバイス管理(MDM:Mobile Device Management)ソリューションを使用することでリモート設定やプロファイルを一括管理することが可能だ。

④プラットフォームのサービスアカウント

モバイル機器の各プラットフォームでは、アプリストア、クラウドストレージ、デバイス間の同期機能、バックアップ機能など、さまざまなサービスや機能を提供している。それらを利用するにはプラットフォームが提供するアカウントが必要になる。アプリストアなどで入手したアプリやコンテンツは、アカウントにライセンスが紐づく仕組みになっている。組織で複数台のデバイスを導入する場合は、あらかじめデバイスを使用するユーザーの数ぶんアカウントを用意する必要がある。

⑤組織アカウントへの参加

モバイル機器を組織で利用する場合、基幹システムにモバイル機器を参加させるかも検討する。プラットフォームによっては基幹システムと連携するための設定項目や機能が標準で搭載されている。

⑥アプリのインストール

モバイル機器は、アプリを活用することで業務使用の幅を広げることができる。アプリは各プラットフォームごとに用意されているアプリストアを通じて入手可能で、数十万種類以上のアプリの中から業務で利用するアプリを見つけ導入する。アプリには有料と無料のものがあり、無料アプリは各プラットフォームのサービスアカウントがあればすぐにダウンロード・インストールして利用できる。有料アプリは購入・決済後、デバイスにアプリがダウンロード、インストールされ利用可能となる。※1

アプリストアにあるアプリで業務に対応するアプリが見つからない場合は、自社でアプリを開発することが検討される。自社でアプリを開発した場合は直接アプリをデバイスにインストールすることができる。

 

※1 組織で同じアプリを複数のデバイスに展開したい場合はアプリのライセンス購入という方法を利用できる。アップルのiOSデバイスではVolume Purchase Program(VPP)を利用することでアプリのライセンス購入が可能である。管理配布で入手したアプリをiOSデバイスに配布すると後にアプリのライセンス回収が可能になる。

⑦配備

設定が完了したモバイル機器からデバイスを使用するユーザーに配備される。この際、組織が用意したプラットフォームのサービスアカウントの情報もユーザーに伝える。

機器・コンテンツ・アプリケーションを管理する

⑧モバイル機器の管理方法

配備したデバイスの管理は、組織の管理者が直接デバイスを管理する「直接管理」と遠隔操作で管理する「リモート管理」の2つの方法がある。直接管理の場合は管理者の手元や周囲に管理するデバイスがある必要がある。デバイスが地理的に離れた場所に配備されている場合や複数のデバイスを管理する場合はMDMソリューションを組み合わせたリモート管理が有効である。MDMを使うことでデバイスの情報や設定の変更、操作をリモートで行うことができる。MDMではデバイスを管理する

⑨コンテンツの管理

モバイル機器で閲覧や編集される業務書類などのファイルやコンテンツの管理も、モバイル機器を導入するうえで重要なポイントである。業務で必要なコンテンツを管理することができるソリューションのモバイルコンテンツ管理(MCM:Mobile Contents Management)を導入すると、組織の機密情報が含まれる書類などをモバイル機器で取り扱う場合に外部へ情報が漏えいしないようにコントロールすることができる。MCMではデバイスで扱われるコンテンツを管理する。

⑩アプリケーションの管理

組織の管理者は、モバイル機器で利用されるアプリケーションの管理も行わなければならない。モバイルアプリケーション管理(MAM:Mobile Application Management)ソリューションを使用することで、組織が用意した業務アプリケーションをデバイスにリモートで配信・管理することができる。モバイル機器はアプリストアからさまざまなアプリケーションを入手することが可能なデバイスである。業務で使用するアプリケーションはもちろん、ユーザーが入手したアプリケーションも同じデバイスに混在した状態で利用されるケースが想定される。業務書類のデータが意図しないアプリケーションへ渡らないようにコントロールすることもMDM、MAM、MCMの組み合わせで可能である。MAMはデバイスで利用されるアプリを管理する。

⑪デバイスが壊れた場合の対応

導入されたモバイル機器が破損してしまったり紛失してしまった場合に備え、まずデバイスに保存されているデータのバックアップ方法なども導入する際に検討しておく。実際にトラブルが発生した場合は、そのケースによってデバイスのデータを完全に消去する必要がある。デバイスが管理者の元にあれば直接対応が可能だが紛失してしまったり、ディスプレイやアダプタが接続できなくなってしまった場合にはMDMなどを使用してリモートでデータを消去するコマンドを実行する。MDMソリューションのなかにはデバイスの位置情報を追跡する機能を持つものもある。

⑫デバイスの返却と再配備

モバイル機器を使用していたユーザー、社員や従業員のデバイスが部署の移動、退職などにより返却されたら、次のユーザーが使用できるよう組織の管理者は再配備の準備を行わなければならない。返却されたモバイル機器には組織の情報はもちろん、これまで使用していたユーザー自身の個人情報も含まれるのですみやかにリストア作業を行う。

ポイントを意識して「計画・設計」「導入・設定」「管理・運用」を行いたい

組織や管理者はモバイル機器を導入する際、「計画・設計」「導入・設定」「管理・運用」を含めシステムのライフサイクルを総合的に意識したうえで導入を進めてもらいたい。

 

執筆者

嶋田智成(株式会社ブルーエアー)/アプリの開発業務やiPadなどのビジネス導入支援、Webシステム、Webサービスの構築などに携わる。書籍の執筆、専門学校やセミナーの講師、技術コンサルタントとしても活動中。