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モバイルの今を知る

熱い医療人がイノベーションで集結 ~神戸医療イノベーションフォーラムレポート~前編【topics】

神戸のポートアイランドにおいて産学官連携で先端医療の研究開発拠点を整備する「神戸医療産業都市構想」の一環として若手研究人材の育成を行っているのが、神戸大学生命医学イノベーション創出リーダー養成プログラムである。本プログラムが主催する神戸医療イノベーションフォーラムが開催されたので、7時間に及び本フォーラムの発表から医療におけるモバイル事例を探ってみよう。

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患者さんへの熱い思いが医療を改革する

医療の現場へのモバイルデバイス活用は比較的早く、2000年代初頭にはWindows CEが搭載されたPDAが医療システムの一部として使用されていた。バーコードリーダー付きPDAによる患者認証など、安全管理などが医療IT初期の活用方法だ。そんな医療におけるモバイルデバイスの先進の活用方法をはじめ、さまざまなアプローチで医療を変革すべく活躍されている方々の革新的な事例発表・交流の場が「神戸医療イノベーションフォーラム」である。同フォーラムは神戸大学大学院医学研究科の杉本真樹氏による呼びかけで2011年より始まり、今年の第5回は17のセッションと、多くの企業展示が出展し、2015年2月8日(日)神戸ポートピアホテルにて開催された。 

杉本氏は、Mac専用3D医用画像ソフトウェアOsiriXの開発に携わった経験を活かし、おそらく日本で初めて手術室にiPadを持ち込み、CTの3D画像によって手術のサポートや学生の教育に成果をあげたほか、現在では3Dプリンターを使用して質感まで再現した臓器モデルによって手術のシミュレーションを行う手法を開発し、医療業界におけるイノベーションとしてさまざまなメディアに取り上げられている。さらにこうした働きがApple社のワールドワイドなMac 30周年記念サイトで紹介されたことから世界に与えたインパクトの大きさがうかがえる。同フォーラムにもモバイルデバイス関連の発表が多く行われたので代表的なものを紹介する。

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会場のロビーには数多くの企業展示が並ぶ。内視鏡映像やCTの映像を立体視できる製品が複数社から展示されており目を引いた。モバイルデバイス関連はiPadに関連する製品が並ぶ。

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杉本氏が開発したBio-Texture Modeling(生体質感造形)。3Dプリンタで型を作り水分を含むことが可能な樹脂を充填することで触った感触まで本物そっくりの臓器モデルを作ることに成功した。写真は腎臓。手術のシミュレーションなどに活用できる。

 

佐賀県統括本部情報・業務改革課 主査及び総務省 ICT 地域マネージャーの円城寺 雄介氏は、佐賀のすべての救急車にiPadを搭載し、受け入れ可能病院が一目でわかるシステムを構築したことにより、杉本氏と同じくさまざまなメディアに取り上げられているのでご存じの方も多いと思う。円城寺氏は市の職員でありながら、実際に救急車に乗って救急隊員が受け入れ可能病院を電話で問い合わせる大変さを身をもって体験したことが、このシステムを構築するきっかけになっているという。このシステムは空き状況がわかるだけでなく実際の搬送までの時間経過を記録することが可能なので、そのデータを分析することで、県内に救急車でも搬送に非常に長い時間かかる地域があることを発見し、ドクターヘリの導入につながっている。その後救急車にiPadを搭載して搬送時間の低減に成功している自治体が増えているのは、すべて円城寺氏の功績といっても過言ではないだろう。

後編へ続く。

 

執筆者紹介

隈 夏樹(くま なつき)/広告・イベントなどの企画・制作、企業VPなど映像作品の構成、Mac Fanなど各種専門誌での執筆等の経験を経て、神戸の甲状腺専門病院 隈病院を有する医療法人神甲会理事長となる。医療ITの整備に努め、2013年に関西においてITの活用で成果を上げている法人として医療機関で初めて関西IT百撰優秀賞を受賞する。