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小学校の創造表現活動を子ども目線で支援する「ピッケのつくるプレゼンテーション」(後編)【Apps】

小学校低学年児童でも使えるやさしさに加え、地図記号やグリッドなどの文教向け要素を多く盛り込み、Windowsタブレットでの利用に最適化したソフト「ピッケのつくるプレゼンテーション」(同製品はIntel Education®の協力を得て開発された)。後半では同ソフト開発元である株式会社グッド・グリーフ 代表取締役 朝倉民枝氏に伺い、開発にあたって重視した点、機能的側面を取り上げる。

「ピッケのつくるプレゼンテーション」の企画・デザイン・制作を手掛けた、株式会社グッド・グリーフ代表取締役の朝倉民枝氏。教員免許を持ち、子ども服デザイナーだったという経歴が、ソフトウェア開発にも活かされている。

簡単操作でデジタルとアナログを融合

「ピッケのつくるプレゼンテーション」で重視されたのは、子どもたちがコンテンツを「つくる」とともに、「伝える」機能である。「つくる」という面では、入力機器としてのキーボードは必須と考えて、Windows 7以降のデスクトップ/ノートPCやタブレットモデルを対象機種とした。前編で挙げた地図記号も小学校の社会科の授業では欠かせない要素であり、写真も取り込める仕様になっている。

イラスト、キャラクターのパレットや写真の読み込み機能など、初等教育で利用頻度の高い要素を子どもにもわかりやすく配置し、ステージに置いた後もハンドルを使って簡単にアレンジできるようにした「ピッケのつくるプレゼンテーション」の編集画面。

画面内だけでなく印刷された紙で共有する場合も考慮し、プレゼン画面の縦横比もコンピュータ画面のワイドスクリーンではなく、A4などのプリンタ用紙に合わせてある。

また、簡単に画面内に配置でき、表情や腕、足の角度を変えて気持ちを伝えられるキャラクターたちは、大人の目からは後ろ姿もあってよいのではと考えてしまうところだが、朝倉氏は、もっとも情報量の多い「表情」が読み取れることがコミュニケーションにおいて重要であるとの信念から、動物ごとの特徴に応じて、正面または横向きの顔のみを用意している。

キャラクターは、コミュニケーションにおいて重要な表情が読み取りやすいように、動物ごとの特徴に応じて正面または横向きの顔のみが用意され、要望があっても後ろ姿は追加することなく今に至っている。また、表情や手足の角度を変えて、さまざまな感情やポーズを表現することできる。

つくることのできるページ数は最大50ページであり、これも限られたページ数の中で考えをまとめるという意味で十分な長さだ。実際に「ピッケのつくるプレゼンテーション」を導入した学校では、他のプレゼンソフトとの比較利用をした際に、子どもたち全員がピッケのほうを選んだという報告もある(10グループの発表で「ピッケ」「他社プレゼンソフト」「画用紙などアナログ」を自由選択させ、ピッケが8グループ、アナログは2グループになったそうだ)。圧倒的に簡単だったからというのがその理由であり、だからこそソフトをツールとして使って考えをまとめ、伝えることに集中できるのだといえる。

社会科の授業に欠かせない地図記号もワンタッチで呼び出すことができ、絵地図などを簡単につくることが可能だ。将来的には、音声機能や写真のトリミング機能を追加し、科目別のサンプル作品などもより充実させていく予定である。完成したプレゼンテーションは、エクスポート機能を使ってファイルに書き出し、サーバなどにアップロードすることで、教師や他の児童たちと共有できるようになる。枠線や文字の入力スペースを配置したページをテンプレートとして保存し共有すれば、教師が自分の授業内容に合った最適のプレゼンテーションのベースとして繰り返し利用することができる。

さらに、横浜市立港北小学校では、当初はパソコンクラブで「ピッケのつくるプレゼンテーション」を利用したところ、普段は進んで発言することの少ない個別級(特別支援級)の児童たちが、つくった作品を「見て、見て」と積極的に発表したそうだ。授業では、隠れた物をヒントを出し当てるというクイズを夢中で作成し、互いに出題しあった。中には自分で工夫をして応用問題をつくる子も現れるなど、児童の意欲を引き出し、大いに成果が得られたという。

横浜市立港北小学校の個別級(特別支援級)では、朝倉氏が「ピッケのつくるプレゼンテーション」を使って出題したクイズに楽しみながら解答したあと、各自が、扉または箱の中に隠れた物をヒントを出し当てるというオリジナルクイズを作成した。扉をカラフルな複数にする、ヒントを2段階とするなど自発的に工夫をこらし応用問題に発展させる児童も現れ、有意義な成果が得られた。今後はもっと多くの個別級教室での利用が進むことに朝倉氏は期待している。

このように「ピッケのつくるプレゼンテーション」には、大人がビジネス目的で利用するプレゼンテーションソフトとは異なる、子どもの想像力を刺激し、考えたことを形にするための機能が様々に備わっている。ICTを推進したいが、どのように授業内に採り入れていくべきかを検討しているならば、このソフトを軸にしてカリキュラムを考えてみることで見えてくるものが大いにあるといえるだろう。

 試用が物語る仕上がり

朝倉氏は知人の子どもたち(小学生)に「ピッケのつくるプレゼンテーション」を試用してもらい、使い勝手や成果物の出来上がりの確認を行うことで、狙いどおりのソフトに仕上がっているかを検証した。このプレゼン作品「りんごジュースができるまで」は、りんご農家の祖母の家を訪ねた姉妹が、文章や写真、手書きのイラスト、地図などで構成した計10ページのレポート(抜粋)で、子どもの素直な観察結果が綴られている。予めできる機能を伝えていたわけではないのに、写真や地図などをストーリーの中に織り込んでいてわかりやすい。

 

(AUTHOR/大谷和利)

初出:DIS教育ICTソリューション 

「ピッケ」は、株式会社グッド・グリーフの登録商標です。その他、記載されている会社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。