Log in

著作権を気にせず使えるNHKの英語教材「基礎英語LEAD」【topics】

良質な英語番組として知られるNHK語学番組「基礎英語」。実践的な会話例とネイティブの音声で効率的に学べる基礎英語は、長年、教育現場や家庭の英語教材として親しまれてきた。そんな基礎英語のコンテンツを先生が授業や問題作成で使用できるシステムが「基礎英語LEAD」だ。14年間分、5500もの会話例会話例をすべてデータベース化し、先生が著作権を気にすることなく英文と音声を使用できる。「基礎英語LEAD」を開発した株式会社NHKエデュケーショナル 語学部 シニアプロデューサー 荒木雅恵氏に製品の詳細を聞いた。

top img 

著作権を気にせず会話例を使い放題「基礎英語LEAD」とは?

基礎英語LEAD(以下、LEAD)は、NHKエデュケーショナルが2014年に発売した先生向けの英語教材作成支援システムだ。NHK語学番組「ラジオ基礎英語」の英文と音声をデータベース化し、先生がWebサイトから検索して教材作成に使用することができる。LEADで使える会話例は、2001年度から2014年度までに放送された「基礎英語1・2・3」と「ラジオ英会話」の5500会話例。全てのデータは権利処理が済んでおり、学校の授業やテスト、宿題などで、著作権を気にせず、“素材”として自由自在に使えるのが特徴だ。

LEADの対象となるのは、主に中学校と高校の英語教員。LEADで提供される英語は中学生レベルになるが、高校においても復習や4技能(聞く、話す、読む、書く)の強化に活用できる。インターネットがつながる環境にあれば、パソコンやタブレット、スマートフォンから、いつでもどこでもLEADの操作が可能で、サーバー設置やハードやソフトの購入も必要ない。すぐに始めることができる使い勝手の良さも魅力だ。

穴埋め文法ドリル、聞き取り問題など手軽に問題を作成

LEADの一番のメリットは、著作権を気にすることなく5500の会話例全てを利用できるところだ。大抵の先生は練習問題やテストを作る際にいろいろな問題集を購入し、それらを参考にして問題を作成するが、著作権に考慮しなければならず活用が難しい。荒木氏は「LEADであれば、5500の英文や音声をテストや練習問題の作成、授業などでそのまま使える。先生が準備に費やす時間も短縮できるのではないか」と語る。

img 02

株式会社NHKエデュケーショナル 語学部 シニアプロデューサー 荒木雅恵氏

会話の英文と和訳をまるごとコピー&ペーストができるうえ、印刷も可能だ。さらに”テキスト作成”機能を使えば、会話文で生徒に答えさせたい単語を空欄にしたり、日本語の質問文を追加することもできる。これを、そのまま印刷すれば、宿題や練習プリントがあっという間にできあがる。ネイティブが話す音声データは、ダウンロードが可能でUSBメモリやCDなどに保存できる。荒木氏は「会話例を電子黒板にそのまま写すだけでも、生徒が顔をあげて発話する機会を増やすことができる」と話す。

文法別、場面別など先生の目的に合わせた詳細な検索が可能

LEADのデータベースに収録された5500の会話例は、6冊の検定教科書を分析し、学習指導容量をベースに学年別に文法項目をリスト化している。荒木氏は、「先生の授業のねらいに合わせて、データベースを使いやすくしたいという思いがあり、多様な方法で検索できることにこだわった」と話す。ほかには、単語やフレーズで検索可能なセンテンス検索や、学習到達目標を設定したCAN-DOリストの項目に対応した検索もできる。各コンテンツをみていこう。

●文法項目で検索
「文法項目リスト」では、各学年で学ぶ文法項目にあわせて検索することができる。例えば、現在完了形の場合、継続・経験・完了・結果などの用法も項目別にリスト化されおり、そこから絞込検索の機能を使って必要な会話例を探す。絞込検索は、番組選択、放送月、単語数などで絞り込む(番組や放送月によって難易度が変わる)。実際にLEADを使用している先生からは、「指導内容に則した教材が作りやすい」「会話例と例文を探すのが楽になった」「単元のまとめの教材として使いやすい」などの声がある。

img 03

●言語表現項目、場面、機能などでも検索可能
「言語表現項目リスト」では、言語材料項目に合わせて会話例を検索することができる。LEADの言語表現項目は「機能」と「場面」に分かれており、機能では“呼びかける”“相槌をうつ”“聞き直す”などの項目がCan-doを意識してリスト化されている。場面では、“あいさつ”“自己紹介”“買い物”など定番のシチュエーションはもちろん、例えば、“学校での活動”の場面になると、文化祭、修学旅行、運動会、冬休みに入る前、などの詳細な場面をリスト化している。荒木氏は「教科書以外の会話例を使用したいという先生の声は多く、LEADであればバリエーション豊かな会話例を提供できる」と語る。

img 04 01

img 04 02

●自由検索
文法、言語表現項目のほかに、自由検索でも会話例を検索することができる。単語やフレーズで検索できる「センテンス検索」や、場所、話者の数、話者の関係、話題(将来の夢や仕事など)でも検索可能。話者の数を「1名」に選択すれば、モノローグが検索できるので、長文読解やリスニングの試験問題作成にも使える。

img 05

4技能をカバーできる教材づくりも簡単に作成!

LEADのバリエーション豊かなネイティブの音声は、4技能をカバーした教材づくりにも活用できる。なかでも注目したい機能は、話者を選んで音声のダウンロードができること。各会話例の音声データは、必要な部分だけを選んでダウンロードができるので、生徒に練習させたい話者の声を省いた音声ファイルが作れる。授業では、ロールプレイ、スピーキング、リスニング、ディクテーションなどの多様な学習シーンでの利用が可能だ。荒木氏は、「LEADの会話例は、会話のバリエーションが豊富で、子供、学生、おばあちゃんなど登場人物も多い。生徒がいろんな場面を想像しながら楽しんでロールプレイに取り組める」と手応えを語る。

過去14年間の放送で使用した5500もの会話例を検索・抽出できるLEAD。全てのデータ分類には、専門家が3年~4年を費やして取り組んだという。製品開発のキッカケは、基礎英語の膨大な英語コンテンツをデータ化した教材集の制作を企画していたことにある。しかし、基礎英語を授業で使う先生がいたり、教科書以外のものを授業で使いたいという声が寄せられていたことから、「我々がコンテンツを加工するよりも、学校の先生がNHKの素材を自由に使って教材作成ができるシステムを提供する方が利用価値も高いと考えた」と語る(荒木氏)。

荒木氏は、今後の展開として「先生の意見を取り入れてさらに製品改良をしていきたい」と語る。例えば、会話文の文章をまるごとコピー&ペーストできる機能は、現場の先生のアイデアから生まれた。このような現場の声に耳を傾け、「先生がより使いやすい機能を充実させていきたい。活用においても、先生の授業例を広げていき、先生同士が互いに情報共有できる場を設け、一緒に製品を作り上げていければと思う」と語る。

英語は今後、学習内容が大きく見直される教科だ。2020年の大学入試改革に向けて4技能試験の導入が検討され、小学校においては3年生から必修化されるなど大きな変化が待っている。現場では、「読む」「書く」に比重を置いたこれまでの英語教育から、「話す」「聞く」スキルの向上にむけた授業改善も課題だ。荒木氏は「今後は、生徒版のLEADも開発を進め、4技能のスキル向上に生かせる教材を作っていきたい」と展望を語る。

AOUTHOR/神谷 加代

初出:DIS教育ICTソリューション