Log in

モバイルは小売業に効く。でも、本当に大切なのは◯◯【topics】

 4月17日、株式会社Tooが毎月開催している「Too iPad活用セミナー」が行われた。今回は「小売業に効くシステムと決済の最新情報」だ。さまざまな事例が紹介され、iPad導入のヒントがつめ込まれていた。

iPad導入のメリット

「Too iPad活用セミナー」とは、Apple正規代理店・正規サービスプロバイダであり、Apple製品導入に合わせたネットワーク構築、システム構築、アプリ開発などを行う株式会社Tooが毎月開催しているセミナー。第1部は「小売業に効く決済の最新情報」と題し、店舗業務用決算アプリや社内利用システムなど、さまざまな業務に関わるITシステムを提供している株式会社クレメンテック代表取締役・武内寛氏が実例を交えたセミナーを行った。

02

株式会社クレメンテック 代表取締役 武内寛氏

クレメンテックでは3年ほど前から、Apple JapanとB to Bにおけるタブレットの活用についてサービス提供を続けてきた。その結果、いくつかの業種に関して、タブレットの利活用ととても相性がいいことがわかってきたという。その1つが「小売業」だ。

小売業と相性がいい理由を「Appleはさまざまなパートナー企業をサポートして決済に繋がるデバイス開発に取り組んでいる。そして重要なのは、店舗で働いている現場の方が、すぐにでもそれらデバイスを直感的に使えるUI(ユーザーインターフェイス)をつくることができること」と話す。

また、iPadやiPhoneをフロントエンドとしたPOSシステムの導入には2つのメリットがあるとした。1つは「センドバック保守」。通常、機器を導入した場合、壊れたときのために企業はバカにならない額の保守料金を支払っている。しかしiPadやiPhoneといった汎用のモバイル機器であれば、壊れたら送り返し、また使いたい場合は新しい末端に今までの(POS)データを「クラウド」から持ってくればいい。この2つを組み合わせることで、保守料金が下げられる。

2つめは、その場で決済することも可能ということだ。なぜ、メリットなのか?  それは単に決済の効率化が図れるだけでなく、例えば従来のPOSレジの場合、いつも誰か1人はレジの前にいなければならなかった。一方で、店員一人ひとりが決済端末をモバイルで常に所有していれば、お客様をわざわざレジの前に来させることもないし、そもそもレジコーナーさえ必要ない。接客モデルそのものが変わるという。つまり、お客様との関係が変わり、コストも下がることで、新しいことが始められるのだ

03

最新の決済情報と導入へのポイント

決済について「早くて2015年の年末にはApple Pay(アップル・ペイ)が日本にも導入されることが予想される。米国ではすでにシェアを大きく伸ばしてきている。Apple Payに対応するには、NFC(Near Field Communication)を読み込めるタイプのカードリーダーが必要になってくる」と武内氏は話す。

※NFC‥‥ソニーとフィリップスが共同開発した近距離無線通信技術。例えば、決済デバイスにiPhoneをかざすだけで、登録したクレジットカードで決済ができるような仕組み。

また、「Apple PayはiBeacon(アイビーコン)を店舗に置き、そのエリアにお客さんが入るとお客さんのiPhoneにクーポンが落ちてくる(届く)というプラットホームをリリースしてくる。そういうものを組み合わせて、できるだけ人を店舗に集め、売り上げを伸ばし、利便性を上げる。そういうことをするためには、こういったインターネットベースの決済デバイスが必要不可欠になってくる」と、これからの決済システムの変化の流れを解説した。

※iBeacon‥‥iOSの位置情報サービスを拡張するテクノロジー。Bluetoothを使用し、上記のように、近づいたiOSデバイスに情報を通知することができる。

またこういった背景を話しつつも大事なことは「単純にコストが安くなるとか、新しいシステムだとかいうものだけでなく、必ずそのビジネスモデルを入れることが大事」だと武内氏は話す。従来のビジネス形式をやめて新しいことをするのではなく、今までのビジネスを拡張させるような導入を考えることが大事だという。

iPad導入のヒント

第2部は、株式会社Too iOSスペシャリストの福田弘徳氏による「Tooでの導入事例と考慮のポイント」がホテル、工場、飲食店、小売、ショールーム、学校、官公庁の7つの導入事例を紹介しながら解説された。特に、ホテル、官公庁についての事例はとても興味深いものであった。

04

株式会社Too iOSスペシャリスト 福田弘徳氏

まず、ホテルの事例だ。福岡にあるホテルから「他にはないサービスで差別化を図りたい。話題になるサービスがいい。利便性に富んだものがいい」というリクエストがあり、全客室へiPadの設置を提案したいう。今まで紙ベースで提供していたホテルの規定や、近くの食事処のデータをすべてアプリにした。さらに、アンケートもアプリにすることで、リアルタイムにネガティブなコメントやクレームを受信でき、お客様が帰る前に、何かしらの対応ができるようになったという。サービス向上に繋がったのだ。

官公庁については、iPadが導入された後の、トレーニングプログラムを提供した。さまざまな年代の方が働く中で、やはり、ITリテラシーの差が目立つ。3カ月間に渡りトレーニングを実施したという。

こういった事例からiPad導入について福田氏は「なんのために導入するのか、目的を明確にすることが大事。iPadを導入すること自体が目的になってしまってる企業はまだまだ多い。業務上の課題であったり、どういった働き方をしたいのか、こういった事を明確にすることがポイントになる」と話し、「すべての業務をiPadでやろうとするのではなくて、iPadが活用できる業務を絞り込んでいく。自由度の高い端末なので、どこまでやらせるのか、運用上のルールを決めていただく。こういったことが大事になる。押さえておいてほしい」とセミナーを締めくくった。

競合他社がiPadを導入した、あのお店では新しいPOSシステムを活用している。時代の流れの中で、焦りのまま導入するのではなく、自社のどの業務に必要なのか、しっかりと考えていきたい。

株式会社Too イベント一覧

執筆者

鎌田智春(GMBA編集部 編集者)_Webデザインの雑誌に携わり、GMBAに参加。一応、デジタルネイティブ世代でPCやタブレットに抵抗はなく、アプリやサービスもとりあえず試してみるタイプ。生活の一部になったモバイルについて本当に最大限その力を活かせているのか、本人もまだ模索中。