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「受験サプリ」内で中・高プログラミングコースが始まる【topics】

2月23日、中高生向けのプログラミングスクールを手がけるLife is Tech!は、中学・高校教諭専用のプログラミング授業支援プログラム「TECH for TEACHERS」を発表した。中学や高校のプログラミング学習においては、教師不足や指導スキル、学習内容など課題が多い。民間スクールとしてノウハウを持つLife is Tech!の公教育に参入に期待が集まる。

ライフイズテック株式会社 代表取締役CEO 水野雄介氏

教員は登録するだけ。プログラミング授業コンテンツが無料で利用可!

ライフイズテック株式会社は2月23日、中学校・高校の先生を対象にプログラミング授業の支援プログラム「TECH for TEACHERS」の新規事業を発表した。同サービスは中学・高校でプログラミングを教える先生であれば、本プログラムに登録するだけで全60講座を無料で利用することができる。コースは「iPhoneアプリ開発コース」と「Webデザインコース」の2つが用意され、2015年3月14日より利用可能だ。コンテンツはすべて、リクルートパートナーズ株式会社が運営するオンライン予備校「受験サプリ」のアプリ内で提供され、先生だけでなくITに興味のある者も利用できるようになっている。

ライフイズテック代表取締役CEO水野雄介氏は「TECH for TEACHERS」を立ち上げた経緯について、「地域格差、情報格差などが原因で広がる教育格差の是正をミッションに掲げている」と語った。プログラミングのスキルがあれば、子どもたちは学ぶ機会やチャンスが増え、自ら可能性を広げることができる。そのためには、子どもにキッカケの場を与えることができる先生の存在は重要だと指摘し、「TECH for TEACHERS」を通して先生への支援を提供することで、教育格差の是正に向けて協力していきたいと想いを語った。

現在、学校教育おけるプログラミングは、中学では「技術家庭」の1つの単元として、また高校では、各学校によって扱いは異なるものの、「情報」の授業で学ぶことが多い。だが、中学・高校ともにプログラミングを教える教師の不足や指導スキル、授業で扱うプログラミング学習の内容などついて、現場では課題を抱えていた。

水野氏は「先生が一人で新しい情報を集めて、それを生徒に還元していくことは難しい。我々ならば、授業で使えるコンテンツを用意し、すぐに授業で使える形で提供することができる。受験サプリとの提携により無料提供することも可能になったので多くの先生に使ってほしい」と語っている。今後は、2018年までに1000校の導入目標掲げ、先生向けの研修なども積極的に開催していくと説明している。

「TECH for TEACHERS」、その中身とは?

「TECH for TEACHERS」は2つのコース「iPhoneアプリ開発コース」と「WEBデザインコース」が用意されている。これらのコースを選択した理由としては、Life is Tech! のキャンプに参加する中高生の中で「iPhoneアプリを作りたい」という声が多いこと、またiPhoneアプリ開発にはMacが必要だが、端末に関係なく、中高生らが発信したい内容が表現しやすい「WEBデザインのコース」を設けた。

2つコースの特徴は、以下の3つになる。

1. 無料で導入できる
2. 30分で授業の準備ができる
3. 創造性を高めるカリキュラムである

iPhoneアプリ開発コースの全30回の内容

同じくWEBデザインコースの全30回の内容

これら2つのコースは、それぞれ全30回の講座から構成されている。1つの講座には、①動画、②生徒用のプリント、③授業用スライド、④指導案の4つがセットで含まれている。1講座は45分授業で設計されており、3〜5分の動画を3本視聴する。つまり、45分授業のうち、15分を動画視聴に使い、残り30分で実習を行う授業デザインになっている。2つのコースともに10回分の講義が用意されているが、学校によってやり方が異なるため、好きな回数で取り組めるように工夫されている。

「TECH for TEACHERS」で提供される動画のイメージ

「TECH for TEACHERS」では、学習の評価に関しては、現在は明確な規準が設けられていないものの、今後は作業の進め方、工夫した部分など、評価ポイントを指導案に盛り込む予定だと水野氏は説明する。また、授業中に発生するトラブルや生徒の対応についても、Q&Aを設けたり、規模が拡大すれば、授業中でも先生がチャットで相談できるようなオペレーションシステムも視野に入れていると話す。

 「TECH for TEACHERS」が「受験サプリ」と提携した、その理由とは?

「TECH for TEACHERS」のすべてのコンテンツは、オンライン予備校「受験サプリ」のアプリ内で提供されている。Life is Tech! との提携に関して、同アプリを運営するリクルートマーケティングパートナーズ株式会社の執行役員で、受験サプリの立ち上げを手がけた山口文洋氏が登壇した。

リクルートマーケティングパートナーズ執行役員 山口文洋氏

受験サプリは、受験生2人に1人が登録する高校生の必須アプリだ。中学1年生からの総復習も含めれば1700講座が用意されており、いつでも、どこでもオンラインで学べる環境を提供している。山口氏は「受験サプリも、もともと教育格差に問題意識を感じたところからスタートした」と説明し、「TECH for TEACHERS」も教育格差へのミッションを掲げていることに共感し、提携に繋がったと背景を語る。

受験サプリは、基礎教育や学力向上を目的とした月額980円の有料プランと、21世紀スキルの育成を目指す無料プランに分かれる。「TECH for TEACHERS」のコンテンツは、無料プランで学べる講座の中で、1つの選択肢として提供される。知名度の高いアプリの中に、プログラミング学習のコンテンツを並べることで、個人でも学習できる形へと可能性を広げた。

「TECH for TEACHERS」や「受験サプリ」を導入する広尾学園、目指す方向は?

2015年4月より「TECH for TEACHERS」と「受験サプリ」の導入を決定した広尾学園中学校高等学校(東京都港区)の教務開発統括部長 金子暁氏が登壇した。同校は高校2年生の情報の授業で「TECH for TEACHERS」を導入し、昨今、教育機関においても導入校が増加している受験サプリの活用も開始すると話す。

広尾学園は、2011年より段階的に、生徒が個人購入した情報端末を学習に活用している。iPadやChromebookなど在籍するコースによって機種は異なるものの、2015年度は生徒の75%にあたる1200名が、何らかのデバイスを手に学習をする環境だと説明する。

金子氏は、「このような学習環境になると、教育の目指すところは均一化ではなく“高度化”だ」と説明し、学校は、生徒が自分自身で学びを広げていくような選択肢を提供する必要があると主張する。受験サプリや「TECH for TEACHERS」はあくまでも、その選択肢のひとつで、学校が教育の高度化を図るためには、外部や民間の力を巻き込むことが大切だというのだ。

これまで学校は、「教員は教えなければならない」という固定概念で進んできた。だがテクノロジーや情報端末を生かした学習環境においては、教員の役割も変わると金子氏は主張する。教えるだけの先生はいらない。生徒の可能性や選択肢を広げる「サポート」「フォロー」「運用」のスキルを持つ教員が現場では求められるようになるだろうと語った。

広尾学園中学校高等学校(東京都港区)の教務開発統括部長 金子暁氏

TECH for TEACHERS

執筆:神谷加代

フリーランス・ライター。2010年にアメリカから帰国後、ブロガー&ライターとして活動を開始。主婦向けにタブレットの活用方法を綴ったブログなどで情報発信を行う。2012年に教育関係者向けの書籍『iPad教育活用 7つの秘訣』を執筆。以後、Webメディアを中心に教育IT関係、キッズプログラミングの分野を多く取材。教育IT系のコンテンツ制作やプロモーションなどにも携わる。