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Apple端末の一括管理。時代は「できる/できない」から「やるか/やらないか」へ【topics】

iPhone、iPadを導入する企業の増加に伴って、パーソナルコンピュータのMacも含むApple製品をビジネスの現場で最大限に活用するための管理術が重要になってきている。また最近では、「シャドーIT」がバズワードにもなっているほどだが、いくら「仕事の生産性を上げるため」とはいえ、会社では把握されていない端末を業務に用いるにはリスクが大きすぎる。

一方で、企業におけるIT管理はおよそWindowsプラットフォームが大半であり、そこに別のプラットフォームディレクトリを同居させるとか、管理スキル習得にリソースを割く、サポート体制をつくるなど、全体最適化のなかではネガティブ要因の扱いとなっていたのも事実だ。つまり、これまでのApple端末の管理は「できる/できない」ではなく、組織におけるさまざまな事情によって「管理が難しい」と位置づけられてきた。

しかしながら、そんなこれまでの常識も今は昔になる時代が到来している。iOS、OS X搭載のAppleデバイスを一括管理できるソリューション「Casper Suite(キャスパー・スイート)」を用いることで、基幹システムへのアクセス、既存資産の継続利用、端末管理、セキュリティ対策などが図れるのだ。

さる9月14日、Apple Store銀座で行われた「MacとiOSデバイスをビジネスに最大限活用しよう」イベントレポートを通じて、Apple端末の一括管理は「できる/できない」の時代から「やるか/やらないか」の時代に移り変わっていることを紹介する。

450万台・5100社、95%がリピーター

Casper Suiteは、米JAMF Software(ジャムフ・ソフトウェア)社が開発している管理ソリューション。すでに世界中の企業、教育機関あわせて5100社の導入実績を誇り、450万台のApple端末が各組織内で一括管理されている。また、5100社のうち、実に95%が毎年このソリューションをリピート使用している面でも、ユーザーの信頼性が高いことをうかがわせる。

ちなみに今年8月、iOSプラットフォームの導入支援を行う米IBM社が、エンタープライズ向けの統合サポートサービスの基盤にCasper Suiteを組み合わせるクラウドサービスを発表した。このことも、同ソリューションがトップクラスのソリューションであることを裏づけている。

Casper Suiteを国内で取り扱うのは、GMBAのOpinions記事でもお馴染みの株式会社チェンジ。セミナーでは、同社・髙橋祐一氏とCasper Suiteエバンジェリスト・福田弘徳氏によるApple端末導入の現状と課題、Casper Suite機能紹介、導入事例が紹介された。日本ではまだ馴染みのない、というよりむしろほとんど知られていない、けれどもトップクラスのApple端末のMDMソリューションともいえるこのCasper Suiteをさっそく解説していこう。ちなみに、JAMF SoftwareのWebサイトではローカライズページが用意されており、トライアルの申込が行える。

 

実際にどんなことができるのか

Casper Suiteには大きく分けて3つのことができる。まずはApple端末(iPhone、iPad、Apple TV、Mac)の資産管理で、アプリの設定状況を管理できるほか、レポーティング機能が充実している。次が端末の配備。ユーザーに渡す際のキッティング(初期設定)、アプリの配付など、時間も労力もかかる設定が一括で行える。iBooksのコンテンツ配信も行える。そしてセキュア化。端末や端末内のデータが漏れないような暗号化の設定が行えるほか、USBポートを使えなくしたりも可能だ。また、セルフサービスは、管理者側で設定されたドライバーやアップデートパッケージ等をユーザ自身の都合の良いタイミングでダウンロードできるポータル機能で、管理者の負担軽減にも寄与する。そのほか、いわゆるMDMの基本機能(リモートワイプや端末ロックなど)も当然ながら有している。

Casper Suiteの中核を担うのが、「JAMF Software Server」(以下、JSS)となる。JSSには企業内でMacを大量に配付する際の機能や、管理コンソールとしての機能を持っている。JSSはオンプレミス版もクラウド版も用意されてり、管理コンソールはWEBブラウザでアクセスするため、MacでもWindowsでもLinuxからでもOKだ。

Casper Suiteが持つ機能の全体像は下図の通りで、プラグインの追加により、Apple社が提供する法人向け機能との連携、またWindowsとの連携も行える。


JSSの機能__フルディスク暗号化(OS X標準のFileVault 2に対応したMacのフルディスク暗号化)、デバイス登録(DEPにも対応)、アプリ配付(VPPで一括購入したアプリの配信、管理ができる)、ソフトウェアパッケージ作成、ソフトウェアアップデートの自動化、ディレクトリサービスの統合(APIやプラグインによってWindowsとの連携が図れる)、コミュニティ(オンラインのコミュニティ、ノウハウ、スクリプトも公開されている)、セルフサービス(自身でカスタマイズ)、資産管理全体(インベントリ)。

また、Casper Suiteにはすぐに管理運用が始められるように、初期の設定支援やトレーニングの提供サービス「JAMF support」が用意されている。専属のサポート技術者、世界中24時間の体制、Apple IT専門家を含むスタッフがサポートを行う。また、Casper Suiteユーザーで構成された2万人のコミュニティフォーラム「JAMF nation(オンラインコミュニティ)」には、1日40件以上のスレッドが立つ。

Apple端末の教育現場利用に有益な無料のアプリケーション「Casper FOCUS」も特筆モノだ。教室内で先生の端末から生徒の端末が管理・監視できるほか、例えば生徒に別々の作業をさせていたとしても、先生のiPadから強制的に生徒のiPadへアテンションメッセージを表示させたり、ロックさせたりも行える。また、同様にコンテンツを生徒のiPadへ直接配信することもできる。

Apple端末の展開方法

イベントでは、福田氏によるApple端末の展開方法に関するデモも行われた。ステップは下図の5ステップで、管理コンソールもすっきりしたデザインでわかりやすい。インベントリ管理(資産管理)では端末機種、コンピュータ名、などさまざまな設定が見えるほか、履歴の目視も可能(ログ取得もOK)。アプリの使用頻度などがわかる。

海外での成功事例としてナショナル・ジオグラフィック社が紹介された。スタッフの90%がiPhone、iPadを利用していて、1000台のMacと550台のiOSをCasper Suiteで管理・運用している。

さまざまあるMDMの中で、Casper Suiteを選んだ理由は、高いレベルでの生産性の維持、タイムリーで完璧なサポート(最新OSへの24時間以内対応)、ITチームの時間短縮、端末の暗号化と機密情報などだ。

時代は「できる/できない」から「やるか/やらないか」へ

さて、駆け足ではあるが、これまでIT管理者の間は「できる/できない」で議論されていたApple端末の管理ソリューションだが、Casper Suiteの国内販売展開によって、時代はApple端末の管理をIT管理者が「やるか/やらないか」に入ったといえるだろう。

企業内におけるシャドーITを黙認する時代にはそろそろ終わりを告げ、モバイルの利便性をビジネスシーンでも有効にすべきではないだろうか。

株式会社チェンジの髙橋祐一氏とCasper Suiteエバンジェリストの福田弘徳氏。

執筆者

小林正明(GMBA編集部 編集長)_雑誌編集に従事する傍ら、2010年以降はもっぱら関心事がモバイルに移り、教育、ビジネス、医療におけるモバイルの先端事例を追う中で、「日本のモバイルITは、本来届くべきところに届いていない」ことを痛切に実感。日本に残された最後のチャンスはモバイル革命だと信じ、GMBAに参画する。