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ロボットが当たり前にいる世界の実現へ。Pepper World 2016レポート【topics】

1月27日、28日の2日間、東京はベルサール汐留にて「Pepper World 2016」が開催された。法人向けモデルである「Pepper for Biz」の最新ソリューションが集結し、小売・受付・医療・教育など、さまざまな業界でPepperが導入された未来を想定した展示が行われた。GMBAでは27日に行われた記者説明会とともに展示のレポートをする。

スマートロボ元年、Pepperという救世主

自分の感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」。2015年6月から毎月1,000台をホームページにて販売し、毎月1分で完売するという人気ぶりを見せている。夢にみたロボットとの生活に、多くの人が胸をときめかせたに違いない。そして、Pepperの法人向けモデルである「Pepper for Biz」への期待も大きい。1月27日から28日まで行われた「Pepper World 2016」にはPepper for Bizの導入を考える企業が入場のため長蛇の列をつくっていた。

販売から約7カ月、現在Pepper for Bizを導入する企業は500社を超えている。この躍進には、みずほ銀行や日産自動車、ネスレ日本など先陣をきって大企業が導入を進めたことも大きな要因になっているだろう。Pepperによる集客や売上に効果を実感した企業は導入店舗を増やす動きを見せている。ソフトバンク株式会社 代表取締役社長 兼 CEOの宮内 謙氏はこの広がりについて以下のように話した。

「日本全体で多くの企業が人材不足に悩んでいます。これから労働人口は30%減るのではないかと言われているなかで、Pepperは救世主になる。今年は、企業のためのスマートロボ元年だと思います」

img 01ソフトバンク株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 宮内 謙氏

ソフトバンクでは店舗でPepperを採用、呼び込みやヒアリングなどをさせることで集客が1.5倍にもなったという。夏までに2000店舗に導入し、最終的には全店舗の導入を考えているとした。

Peeperはテクノロジーの中心へ

Peeperを導入した際、かかるコストはどれくらいだろうか。人材が足りないといってロボットを導入してもコストがかかりすぎては意味がない。しかし、法人だけの電話サポートや研修などを含めても彼の月給は5.5万円だという。

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さらに、現在Pepper for Bizのアプリケーション開発パートナーは200社を超える。受付、接客、顧客データ管理、診断、各企業ごとにカスタマイズすることで自社だけのPepperの完成だ。

「業種別にカスタマイズされたさまざまなアプリを用意しております。またそれだけではなく、先日IBM Watosonとの提携を発表いたしましたが、これからどんどんITジャイアント、最新テクノロジーと提携していきたいと思っています。そして、パートナーさまを通して、各施設や企業に身近にその最新テクノロジーを提供していきたい。そういった世界にしたいと考えています。今までは割と、にぎやかしといいますか、客寄せパンダ的な要素があったんですけれども、これからは本当にコスト削減、売上拡大、リアルに企業に貢献していくだろうと思います」

そう話すのはソフトバンクロボティクス株式会社 代表取締役社長 冨澤文秀氏だ。さらに冨澤氏はロボット事業について熱く語った。

ロボット産業はIoTやAI含め、世界中が動き出しています。おそらく、何十年、何百年の戦いになるかと思います。我々は、このロボット事業、日本発信のものとして、必ず勝ちたいと思っております

img 03ソフトバンクロボティクス株式会社 代表取締役社長 冨澤文秀氏

Pepperへの期待の高まりを煽るように、ソフトバンクは3月28日から4月3日の期間限定で「Pepperだらけの携帯ショップ」をオープンすると発表した。複数台のPepperが呼び込み、受付、ヒアリング、商品紹介など極力Pepperたちだけでお店を切り盛りする。Pepperにどこまでできるのか。興味のある方は足を運んでみてはどうだろうか。

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旅行、店舗、医療、介護、教育…現場でこそ輝く

Pepper World 2016の会場では「未来の受付・トラベル」「未来の教育」「未来の小売」「未来の医療・介護」にわかれ、すでに開発されたアプリを体験できるように展示が行われていた。一部だが、紹介したい。

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ソフトバンクの店舗で接客するPepper。今日は何の目的で来店したのか、契約であれば契約に必要な本人確認証や銀行印などを持ってきているかなど、従来受付担当者が行っていただろう内容の確認をPepperが担当している

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企業の受付を担当するPepper。ソフトブレーン株式会社が提供するレセプションマネジャー、セールスマネージャーと連携。社員が登録したスケジュールから、来客リストを作成。受付で自分の名前を選ぶだけで簡単に担当社員を呼び出すことができる。受付が完了するとPepperは担当社員へメールや電話などで来客を通知。名刺のデータベースから「2年前に名刺交換させていただいた○○さまですね。お久しぶりです」というような会話をしていてくれる

「パートナーさまとエンドユーザーさまをマッチングして、いろいろな想像力を働かせ、さまざまなアプリをできるようにしたい。そういう仕組みも考えています」

冨澤氏は上記のように話し、アプリケーションのさらなる充実、また各企業のニーズにあったアプリ開発の仕組みを用意しているとした。

ロボットが生活の中にいるなんて考えられなかったかもしれないし、まだ自分ごととして考えられていない人が多いかもしれない。しかしながら、テクノロジーの進歩はあっという間に生活の中、社会の中に入ってきてしまう。否応なしにだ。昨年から話題になっているオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した『雇用の未来ーコンピューター化によって仕事は失われるのか」という論文をご存知だろうか。10〜20年ほどで消える職業、なくなるであろう仕事が記載されている。銀行の融資担当、電話オペレーター、レジ係、電話販売員、ホテルの受付、スポーツの審判、レストランの案内係など、多くの職業が取り上げられている。この結果をPepperを前にして「そんな馬鹿な」とは言えないだろう。月給5.5万円で受付を担当してくれるPepper、新人研修やマニュアルを覚えさせることもない、アプリをダウンロード、もしくは開発すればいい。集客、売上拡大、経費削減、ロボットの発展による恩恵を期待するとともに、自らの働き方についてGMBA読者のみなさまにはこの機会に今一度、考えてみてほしい。

 

Author

鎌田智春(GMBA編集部 編集者)_Webデザインの雑誌に携わり、GMBAに参加。一応、デジタルネイティブ世代でPCやタブレットに抵抗はなく、アプリやサービスもとりあえず試してみるタイプ。生活の一部になったモバイルについて本当に最大限その力を活かせているのか、本人もまだ模索中