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加速するDropbox for Businessの国内事情 【topics】

 4月7日、東京は永田町、ホテルニューオータニでDropboxによる記者発表会「日本での事業拡大に向けた新戦略について」が行われた。現在、ビジネス向けの「Dropbox for Business」は、世界中で約3億人のユーザーが利用している。発表会では、Dropboxとソフトバンク コマース&サービス株式会社(以下ソフトバンクC&S)との業務提供が発表された。Dropboxが描く未来とは、どのようなものなのだろうか。

日本の労働生産性

2014年10月、オースティン、ニューヨーク、シアトル、ダブリン、ヘルツリーヤ、ロンドン、シドニーに続くDropboxの支社が日本に設立された。ドキュメントや画像、動画などを共有することができるオンラインストレージサービス「Dropbox」は、GMBA会員のみなさんも一度は使用したことがあるのではないだろうか。現在日本では、1,000万人近いユーザーがDropboxを利用している。そのことについてDropbox Inc.CEO兼共同創業者のドリュー・ハウストン氏は「日本ではモバイルの使用人口も非常に多いからか、Dropboxが早い段階から受け入れられている。それが日本での成功の要因になっていると思う」と話した。

しかしながら、Dropboxの利用者が増えるものの「日本では5人中4人が会社でのファイル同期と共有ソリューションに満足していないというデータ結果がある。個人が使っているツールのほうが使い勝手がいいとの声も多い」とドロップボックスジャパン株式会社代表取締役社長河村浩明氏は話す。

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Dropbox Inc. CEO兼共同創業者 ドリュー・ハウストン氏(左) ドロップボックスジャパン株式会社代表取締役社長 川村浩明氏(右)

発表会では、日本の1時間あたりの労働生産性が1位のノルウェーの約半分、アメリカの3分の1であるとのデータ(OECD調べ)やビジネスのし易さランキングも世界で29位というデータ(世界銀行グループ調べ)を公開し、今の日本がいかに働きにくい環境なのかということを提示した。

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日本のワークスタイル

Dropboxでは日本支社設立にあたり、昨年より「Dropbox for Business」の営業を開始してきた。現在、約10万ユーザーが日本で使用している。その中から、株式会社電通と株式会社エイリムの導入事例を紹介した。株式会社電通では、今までDVDで海外に発送していた高解像度のデータをDropboxの共有リンクを活用して送信するようにし、コスト面でも時間面でも、大幅な効率アップを実現した。株式会社エイリムでは、社内の開発者と製品のスペシャリストが共同作業を行うインフラストラクチャとして採用。スピーディーなコミュニケーションを可能にした。

さらに副産物として「社員がどこでも・いつでも仕事ができるので、今まで家庭を犠牲にして働いていた社員もワークライフバランがとれるようになった」という声が届いたという。

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実は、利用ユーザーはまだまだ少ないが、Dropboxの有償ユーザーが毎月どれだけファイルを作っているのかというデータでは、日本はダントツにトップで、アメリカの平均の倍あるという。つまり、Dropboxが日本で知名度を上げ、どんな企業でも安心して使用できるということを理解してもらえれば、日本での利用が爆発的に広がる可能性がある。

「日本はこれから労働力不足になる。どう解決したらいいのか? それは、時間的、場所的な問題で、働きたくても働けない人たちに、いかに職場に貢献していただくか。これにつきるのではないだろうか。国家としても規制の緩和を行っているが、それだけでは不十分。もっともっと企業が、自社のワークスタイルを変えて、従業員が気持ちよく仕事ができる環境を作ってかなければならない。そして、日本の企業の方々が安心してDropboxを使えるようにサービス提供することが私たちの責務である」と河村氏は熱弁した。

 Dropboxが描く未来

冒頭でも記載した通り、DropboxはソフトバンクC&Sとの業務提携を発表した。河村氏は「日本の就業人口の70%が中小企業だ。そういった企業が、日本経済を支えている。ソフトバンクC&Sが持っている日本の知見と合わせて、まずは、この中小企業を徹底的に総括していきたい」と話す。

その上で、株式会社アイ・オー・データ機器、株式会社アイキューブド システムズ、株式会社インターコムら13社とも業務提携を結び、30万以上のアプリで構築されるDropboxのグローバルなエコシステムの拡大を目指す。具体的には、ビジネス向けDropbox APIを活用してこれら企業と連携することにより、機能性を拡大、セキュリティやコンプライアンスへのニーズを満たしていくと発表。

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「日本のテクノロジーカンパニーとエコシステムを構築することによって、これから日本における成長を加速。ワークスタイルを変革して、日本の企業全体の競争率、生産性の向上にしっかりとコミットしていきたい」と発表会を締めくくった。

なお、4月10日には、Dropbox本社がMicrosoft社との戦略的パートナーシップが発表された。これにより、あらゆるデバイスのWebブラウザからDropboxでMicrosoft Word、PowerPoint、Excelファイルを編集できるようになった。現在Dropboxに保管されているOfficeドキュメント数は350億を超えているそうだ。今回の提携で、スマートフォンやタブレット、Webでこれらのファイルの共同編集をシームレスに行える環境が実現されたことは、シャドーITではない、Dropboxのビジネス活用が一層広がると予想される。

今使っているビジネスツールが本当に効率的か、自社に合っているのか。社員一人ひとりが考え、変化を恐れずに柔軟に対応することが自社の成長、ひいては日本の成長に繋がっていくのではないだろうか。ワークスタイルの変革は、すぐそこまできている。 

 

執筆者

鎌田智春(GMBA編集部 編集者)_Webデザインの雑誌に携わり、GMBAに参加。一応、デジタルネイティブ世代でPCやタブレットに抵抗はなく、アプリやサービスもとりあえず試してみるタイプ。生活の一部になったモバイルについて本当に最大限その力を活かせているのか、本人もまだ模索中。