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IT革命の果実を取るために、半歩先を提案__DiS Innovation Forum 基調講演 マイクロソフト的継続ビジネスのすすめ【topics】

ダイワボウ情報システム株式会社は2016年2月18日、東京・六本木にて「DiS Innovation Forum」を開催した。モバイル&クラウドでワークスタイルに変革をもたらすための「視点」をパートナー各社・エンドユーザー企業に提案する内容で、基調講演、マーケットフォーカスセッション、ハンズオン、展示会場というマルチトラックの1Dayイベントは、これまで日本企業のIT化を「モノ」から下支えしてきた同社の「コト」へのビジョンを明確にし、パートナー各社に対し、これからの提案先と提案方法を養成する新たな第一歩を踏み出した印象だった。本稿では基調講演パート3として、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏による「ビジネスを加速させるクラウド・モバイルとその課題~エバンジェリストが届ける魅力あるメッセージ~」をダイジェストする。

お客様の環境がいまどう変わっているのか、をまずは知ること

「願わくば、来場されたDISのパートナーの皆さん全員に、本日このあと私が行うデモンストレーションを、皆さんご自身がお客様に対して直にやっていただきたい、こんなことをやってみませんかと。そういう内容です」

これは開口一番、日本マイクロソフト エバンジェリストの西脇資哲氏が投げかけたメッセージだ。

昨今、製品や商材の新機能やスペックといったテクノロジーカットの情報は、お客である企業側のほうがむしろよく知っているケースが多い。「新機能でできることはわかるけど、うちの会社がそれでどう儲かるのよ? バージョンアップするとKPIとかROIにどう影響するわけ?」こう言われると、販売店側が提供できる価値はどんどん狭まってしまうのが現実だ。では、どんな視点を持って接すれば、新しい価値を企業側は見い出してくれるのか。

マイクロソフトにとっても、販売店のビジネスが継続的に成り立たなければ将来はない。その意味では「パートナーの皆さんと一緒にやっていきましょう」、そして「デバイスを売るとか箱を売るとかではなく、これからは使い方を売ってほしい」。見方を変えるだけで、今日からでも実践できる価値__つまりは企業側への半歩先を見据えた提案をすることで、自ずと接し方も変わってくることを西脇氏は暗に言わんとしているようだ。

そのファーストステップは「クラウドがどのくらい浸透しているだとか、クラウドビジネスがどのくらいの規模になるだろうとかはどうでもいい話。それよりも、お客様がどう変わっているのか。どんなことをやりたいと思っているか、のほうが重要。お客様の環境がいまどう変わっているのか、をまずは知ること」だと西脇氏は続ける。

企業側の環境、特徴的なチャートとして米フォレスター社の調査(2014)「場所に依存しない仕事環境」を引き合いに出す。

・オフィスに到着する前に最初のメールを送信する_56%
・オフィスを出たあと、最後のメールを送信する_73%
・全世界のBYOD_3億430万台

「皆さんはどうですか? すでに同じような働き方をしていませんか? この数字は間違いなく増えます。つまり、お客さんも同様、これをやりたいんです、というかやらなければいけない働き方になっているんです。これが、我々のお客様のいまある働き方です」

これができるようにするために、パソコンを売るという話ではない。これができるようにするために、どういう手段や最適なサービスを企業に提供できるのか。もう1つのチャートは「モバイル環境での作業」

・3カ所以上の場所で作業をしている_37%
・3台以上のデバイスを使って作業をしている_53%
・7つ以上のアプリを使って作業をしている_82%

「おそらく現在はこれらの数字がもっともっと上がっているはずです。例えば3カ所以上の場所で作業をする、その時どうすればいいんですか? こっちのパソコンにはデータを入れてなかった、、、シマッたあ、では仕事が継続できませんよね」

そこでだ。企業側に対し「だからどうすればいいのか」という手段を提案してあげる。つまり、Excelの最新バージョンこんなにすごいんですよ、というビジネスではなく、3カ所以上の場所でお仕事しますよね、これからは。だったらExcelの最新バージョンがいつでもどこでもどんなデバイスでも使えるOffice 365がぴったりですよ、と提案する。冒頭での西脇氏の言葉につながる。

お客様に、メッセージをどう届けていますか?

プレゼンテーションはいつのまにかスライドから切り替わり、SurfaceやiPad、ノートPC、そして手元のWebカメラと軽快なテンポで西脇氏は続けていく。さすがはエバンジェリスト。参加者も目が離せない様子で食い入るように西脇氏を見つめている。

内容のポイントは2つ。まずは(これは言わずもがなだが)、米Microsoft社のCEOが3代目のサティア・ナデラ氏に代わったときから、Microsoftは一気呵成にモバイルファースト・クラウドファーストに主軸を置いた方向へ舵を切った。その具現化の1つが、マルチプラットフォームに向けたアプリケーション・クラウドサービスの投入だ。2つ目は、One Windowsと呼ぶのがふさわしいWindows 10搭載デバイスの多種多様化である。

しかし西脇氏はこの2つのポイントを、いまMicrosoftが提供している最新のOffice 365の特長紹介をしっかりと織り交ぜつつ、しかしそれは決してテクノロジーカットの見せ方ではなく、あくまで「コト」ありきの見せ方で話を進めていく。

ではその「コト」とはなにか。「仕事をストップさせない利便性」と「気にする必要がない安全性」につながる。働き方が、望む望まないに関わらず変化・多様化している。そこで重要なのは、ストレスなく「やりたいことにすぐ取りかかれる環境」だ。一方で、利便性と危険性は比例するのが通例だが、それもテクノロジーが解決してくれる世の中だという認識は広まりつつある(もちろんセキュリティに100%の安全はないのだが)。

まずは「仕事をストップさせない利便性」。西脇氏が実際のデモでやってみせたことは、(ノートPC上で)Office 365で作成したドキュメントファイルを、自身のOffice 365ドキュメントサイトにドラッグ&ドロップでクラウド上に置く→このドキュメントをiPadで開き、作業を続ける。ここまではまあ普通。続いてドキュメントサイトに以前アップしたドキュメント(共有設定)に対し、いつ誰が更新したのかが見える化できていることもアピール。しかも、その更新者がいまどんな状況にいるのか(例えば離席中なのか在席中なのかなど)が、同じドキュメントサイト上でカーソルを合わせるだけ、クリック(あるいはタップ)するだけで瞬時にわかることをアピール。Outlookでも同様だ。

また、この共有ドキュメントがいつ誰にどこで何回閲覧したのかも一目瞭然で見ることもできるし、電話もかけられる。さらに、テレビ電話をしながらリモートデスクトップ(RDP)もワンクリックである。

これら一連のデモ、よく考えれば、我々が普段スマホで当たり前のようにLINEやFacebookをはじめとするSNSで体験していることだ。つまり、「安心安全」をしっかり担保したうえで、このストレスのないやりとりこそがいまビジネスで求められる運用環境だろうし、これなくして浸透も進まない。これがOffice 365でいますぐ始められる。でも逆に言えば、西脇氏がデモしなければいけないほど、Office 365はまだまだ「サブスクリプション型の最新Office」ぐらいにしか捉えられていないのかもしれない。

気にする必要がない安全性

前述のプレゼンはOffice 365が提供するサービスのほんの一部。ユーザーに「ストレスを感じさせない特長的なテクノロジー」の紹介がこのあともいくつかあったのだが、本稿最後で触れたいのは「気にする必要がない安全性」である。

Windows 10には「Windows hello」という、パスワードを入力することなく、企業で採用されるレベルのセキュリティが実現されるテクノロジーが搭載されている。西脇氏はSurfaceに搭載されているフロントカメラを使い、このWindows helloによる顔認識でのログインを実演。と、これまたここまでは、まあいまどき普通のことであろう。驚くのは、ここに2段階認証を別のデバイスで設定し、なんとiPhoneのTouch ID(指紋認証)を組み合わせたログインを実演してみせた。

これが意味するところはつまり、「安心安全と利便性は共存できる」というのがこれから企業が採用すべきITであるということ。この20年、さまざまな企業環境の中にITが取り入れられていく一方で、その数だけセキュリティゲートの数も増え、結果として不便性をユーザーに強いてしまい、効率化どころか非効率な現実を目の当たりにすることはままある。

ワークスタイルがますます変わっていく中、コアタイムの生産性をいかに向上させるのかが企業経営者には求められている。モバイル・クラウドというITフェーズを取り入れるだけで解決する問題ではないが、仕組みや制度も含め、そろそろマインドセットを新たにし、IT革命の果実を取りにいくために「半歩先を提案をしませんか」。そんなメッセージが伝わる西脇氏の講演だった。

AUTHOR

小林正明(GMBA編集部 編集長)_雑誌編集に従事する傍ら、2010年以降はもっぱら関心事がモバイルに移り、教育、ビジネス、医療におけるモバイルの先端事例を追う中で、「日本のモバイルITは、本来届くべきところに届いていない」ことを痛切に実感。日本に残された最後のチャンスはモバイル革命だと信じ、GMBAに参画する。

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